- 自己破産
2018-09-28
- 【自己破産に対する誤解】自己破産、その時どうなる?その後どうする?③

自己破産に対する誤解
戸籍に載ってしまう!住民票に記載が
これは、もはや一種の都市伝説であるとも言えるでしょう。現行法では、自己破産をしたことが戸籍や住民票に記載されることはありません(昔の民法には、禁治産者という項目があり、これは記載されていました。おそらくはこの制度との混同かと思われます)。当然選挙権がなくなるということもありません。
一応、役所には「破産者名簿」というものがあり、裁判所から通知を受けた場合記録するということになってはいますが、現在では、「破産申立をしたが免責が下りなかった場合」などに限り通知を行うというように改正(2005年改正)されておりますので、破産した方のうち95%以上の方は役所の破産者名簿にも記載されずに手続が完了しているのが現状です(こちらは、官報の掲載と混同されているようです)。
旅行できない?手紙開封?
これは、「破産管財人」という人が就いた場合の制限です。財産があるなど裁判所が必要と認めた場合に破産管財人が選ばれますが、選任された場合管財人宛に郵便物が送付されることになります。また、旅行の際は裁判所の許可を得ることが必要となってきます。ただしこれはあくまで破産管財人が就いた場合の制限で、そうでない場合旅行や転居の制限はかかりません。
手紙もそのまま届きます。破産管財人が就くということは、財産処分手続が必要な場合ですので、消息不明や音信不通だと困るということでしょう。この制限がついた場合でも、仕事上必要な出張などで許可が下りないということは基本的にはないと考えられます。破産管財人が就かない場合は旅行も制限されず、手紙も開封されません(とはいえ、裁判所の呼び出しがあったら応じないと手続中止などの不利益を被るため、長期旅行に出かけるなどの際は注意が必要と言えます)。
家族に迷惑が…
家族かどうかは、法的には基本的に関係はありません。支払義務の免除を受けたからといって家族が肩代わりしなければならないわけではなく、また家族に取り立てをすることも禁止されています。奨学金の保証人になれなくなるなどの、間接的な影響があったとしても、借金を直接家族がどうこうしなければならないという決まりはありません。従って、家族に迷惑がかかるという心配も不要だと言えます。
ただし、家族か否かに関わらず、「保証人」は本人に代わって請求を受けることになるため、家族がローンの保証人である場合は、同時に債務整理の手続を行う必要がある場合はありえます。この場合、問題となるのは家族かどうかではかく、保証人かどうかです。
一生ローンが組めない?
これも誤解です。信用情報機関に事故登録がされることには相違ありませんが、期間は「5年から10年」と決まっていますので、それを超えてローンが生涯組めなくなるということはありません。ただし信用情報機関は金融会社の報告にもとづいて延滞などの事実を記載しているだけですので、「長期延滞」のまま記録が放置されてしまっていれば、その期間事故情報が残ってしまうことはありえます。
実際にあった例では、破産したにも関わらず金融会社が延滞のまま情報を放置し、削除を忘れて11年経過したという事例がありました。カードが作れないことを疑問に思った本人が信用情報を取得してはじめて判明したというケースがあります。まれな事例かも知れませんが信用情報は自分で確認するようにした方が望ましいと言えるでしょう。
年金の受給権が?
年金や生活保護の受給権と自己破産手続は、基本的には互いに影響することはありません。これは破産をした場合に給料が何か影響を受けるのかと同じように考えるとイメージがわきやすいかと思います。生活必需品の保有が認められているのと同様、生活に必要な収入を得ていくことは認められています。注意点は、年金支給額が高額で支給された年金が「資産評価」を受ける場合などでしょうが、これは給与所得が高い方にも生じる事例であり、受給権自体に影響があるわけではありません。
ポイント
- 戸籍や住民票に破産した事実が記載されることはない
- 旅行や転居の制限があるのは、破産管財人が就いた場合
- 家族が破産手続の直接的な影響を受けることはない、影響を受けるのは「保証人」
- 生涯事故情報が残り続けるわけではない、ただし信用情報は確認しておきたい
- 年金や生活保護の受給権が破産手続で制限されることはない
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