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自己破産

2018-01-11

差押のリスクは?対処は可能か?
債権者から、「差押するぞ!」という通知が来てしまっている方や既に差押を受けている方向けに、差押のリスクと対処法についてまとめてみました。

 

差押とは、債権者側が、未払いの借金や税金などを回収する際に、債務者側が任意に返済に応じない場合に債務者の財産を文字通り「強制的に差押えてしまう」法的手段です。

一般的には、金融機関への返済の滞り、住民税や年金、社会保険料などの滞納などが原因で、差押を受ける場合が多いようです。無論、個人間の金銭の貸し借りでも貸主が差押で回収しようと考えた場合差押を受ける可能性がありえます。

 

 

1 差押を受けると何が起こるのか?

1.1差押を受けるまでの流れは?

差押、とたった二文字で表現されても全くイメージがわかない方もおられると思います。そこで、どこからどのような通知(督促)が来て、差押を受けることになるのかを以下でご説明いたします。

差押が発生するまでの流れ

差押までの流れは、民間の場合と行政(税金、社会保険料、年金)とは異なっています。

民間からの借り入れの滞納

民間の金融機関からの差押えの流れは概ね以下のような流れで差押を受けることになります。

 

  1. 電話や督促状による支払いの督促
  2. 支払督促、裁判、調停→執行力ある債務名義の正本を債権者が取得
  3. 債権差押の申し立て(債権者→裁判所)
  4. 債権差押命令(裁判所)
  5. 差押の実行(預金の場合当該差押対象預金の凍結)

 

当然のことですが、何が、いつ差押されるかは債務者に知らされません。民間の金融機関の場合、原則として裁判を経由する必要があるのですが、判決と同日に執行文(差押をしてもいいという裁判所のお墨付きとお考えください)をもらって即座に差押に着手したり、仮差押という手続によって判決前に仮に差押を行う金融機関もあるようです。従って、差押の前に財産を移動させようと思っても、なかなかうまくいかないのが現状のようです。

税金、社会保険料、年金などの滞納

  1. 督促
  2. 差押予告書(最終催告状)の郵送
  3. 差押え(預金口座への強制執行または執行官の訪問による財産差押)

 

民間の場合との大きな違いとしましては、税金や社会保険料、年金などに関しては、裁判を通さずに差押になります(官公署の場合は、税金の滞納を裁判所に訴え出ることはできません。裁判所も抱えている事件が多いため滞納の事実が明らかなら役所の方で自力回収してくださいというスタンスをとっています)。このため、差押予告書の通知が届いた段階で、差押に関してはレッドゾーンであると言えます。

 

もっとも、督促状には原則として期限を設けなければならないため、督促状に定められた期限を過ぎた場合にはいつ差押を受けても不思議ではなく、文句も言えないということになります。

公正証書が作成された場合

民間からの借り入れの場合であれ、公正証書が事前に作成されていた場合、裁判を通さずに差押えられるものと考えた方がよろしいでしょう。これは公証実務において、「本各債務を遅滞した時は、乙(債務者)は乙の有する財産に対する強制執行を受けることに異議を唱えない。」という文言が追加されていることがほとんどで、この一文のおかげで、公正証書が執行力のある債務名義と見なされるためです。

 

公正証書とは

法律の定めに即して権利義務関係を公証人の前で述べることでこれを公証人が公正証書として記録した文書。証人を要求されることから弁護士や行政書士が関与する場合が多いですが当事者同士でも作成は可能。公正証書の対象となった権利義務関係(例:AはBに金100万円借りている)に関しては仮に事実でなかったとしても(本人が述べているため)事実とされる。作成の手続が厳格なため法的効果は非常に強力です。

1.2 差押を受けたことによる3つのデメリット

財産の差押以外にも、差押により間接的に起こりうるデメリットとして以下の3つが大きなものとして挙げられます。特に勤務先に借金がばれてしまうことは、差押を受けること以上に痛手になる可能性がありえます。

 

  • 勤務先に借金の存在を知られる
  • 差押で他のローンの残高不足となった場合信用情報に登録
  • 遅延損害金が発生する

勤務先に借金の存在を知られる

差押えの対象には、給与も含まれます。債権者は勤め人の場合まず、はじめに給与差押を狙ってくる可能性が非常に高いです。理由は、他の差押方法とは異なり債務者が退職していない限り空振りがなく、一旦差押が成功すれば債務者が退職などしない限り継続的に回収を行えるためです。そして裁判所(もしくは市区町村)から「Aの給与を差し押さえる。B社はAに対し所定の金額の給与を支払ってはならない」と記された「債権差押命令」が届くわけで、これが届いてしまった時点で勤務先には借金があることを知られてしまうことになるわけです。

 

「債権差押命令」は非常に簡潔な文書なのですが、一般の方がこれを見ると「Aは何か悪いことでもしたんじゃないか?」と勘違いしてしまう可能性がありえます。差押を受けたことで会社の解雇が認められるわけではありませんが、差押を受けた当人が会社に居づらくなり、結果退職につながってしまうことが多いのが実情です。

差押で他のローンの残高不足となった場合信用情報に登録

これは必ずしも登録されるというわけではありませんが、仮に他の支払(決済)用に10万円用意していたとして、これが差し押さえられてしまったら他の金融機関への返済も芋づる式に延滞してしまい、結果信用情報機関へ登録されるというリスクがあります。民間の場合は、遅れ発生の時点で金融事故情報が登録されてしまっているため影響はそこまで大きくないとも言えますが、税金などの場合は現行では信用情報機関に登録しない運用になっているため、税金等差し押さえ、返済口座の残高不足、他の金融機関への返済の遅れ発生、信用情報機関に事故登録といった負のスパイラルは、是が非でも回避したいところです。

遅延損害金が発生する

借金の返済を強制執行するための差押えですが、元金だけ支払えばよいというわけではありません。滞納した日数分の遅延損害金が元金に上乗せされており、これも支払わなければならないということになります。

 

遅延損害金=借入残高×遅延利率(年率)÷365日×滞納日数

 

遅延利率は、金融機関の借入の場合、利息制限法の上限金利の1.46倍までが法律で認められています。これは例えば年利18%の借入だった場合、遅れ発生後の遅延利率は実に年利26.28%にも上り、ただでさえ返済が苦しい時のダメ押しにもなりかねません。
なお、税金の場合は滞納3ヶ月までは7.3%、以降14.6%というのが一般的です。こちらの場合も結構な金額になってしまいます。家賃等の遅延損害金に関しては、その後の入居者がいるのかなど様々なケースが考えられますので、賃貸借契約で予め定めることが多いです。

1.3 何が差押えられるのか(差押対象財産)

いくら差押が法律で認められた債権者の権利であるとはいえ、債務者の生活費全額を差押えてしまえば、たちまち債務者の生活がたちゆかなくなってしまいます。そこで差押の対象となる財産には一定の制限が課されています。差押の対象になるものは以下の通りです。

 

  • 給料(手取りの1/4まで)
  • 銀行預金
  • 換金できる物
  • 不動産

給料

副収入がない方の場合、給料イコール生活費と言えるでしょう。そのため給料の差押えの上限は決まっていて、手取りが33万円を超えた場合と超えない場合で算出額が異なってきます。
・手取りが33万円以下の場合
手取りの1/4の金額が差し押えられる(手取り20万円の場合、5万円)
・手取りが33万円を超える場合
  ※手取り-33万円
  ※手取りの1/4
どちらか金額が高い方の金額が差し押えられる。
<例>手取り:48万円

・手取り48万円-33万円=15万円
・手取り48万円÷4=12万円
15万円>12万円

よって、15万円が差し押えられます。

 

いきなり生活費が15万円マイナスとなった場合、状況によっては生活が困難となってしまう可能性もありえます。1/4を「給与25%カット」と考えた場合に生活が回らなくなってしまうという場合は、債務整理という選択肢も視野に入れなければならないでしょう。

銀行貯金

貯金の差押えは、銀行が債務者への支払停止を命じられ(預金の引き出しに応じられなくなる)、その後債権者に支払われる形になります。給与と異なり、差押える金額の上限がないため、原則として預けた金額分の全額が差押されます。

換金できるもの(車、骨董品、美術品など)

競売して換金できるものは、差押えの対象になります。しかし給与や銀行貯金と比べ、換金には競売の手間やコストがかかるため、思ったほど回収ができなかったという場合も多く、下手をすると費用倒れになってしまうことから差押の優先順位は低いと言われています。これら換金できるものの差押を、「動産差押」と呼びますが、執行官が訪問してもめぼしい財産がなかったり、下取り価格が見込めなかったりするなどの理由から、まずは給与、次に預金、その後動産という流れが差押実務では多く採られています。

不動産

滞納額が余りに多いと、預金や給与の差押では回収の目途が立たないことから、土地建物が差押の対象になる場合もあります。最も多いパターンとしましては、住宅ローンの滞納が続き、保証会社からの一括請求をかけられ競売にかけられるという事例が多いようです。

 

但し不動産の場合、不動産は逃げはしませんが換金するまでに期間が相当かかることや、債権者に対し、万一(差押原因がないとなった場合に備え)予納金が最低60万円から納付を求められますので他の差押形態と異なり金額が相当な多額でない限り差押の優先順位としては「最後の手段」と言えるでしょう。

差押の対象外:生活用品

生活用品(冷蔵庫、洗濯機、家電など)の差押えは禁止されています。そもそもこれらを差押えても換金が見込めるのかという問題もありますが、いずれにせよ債務者の生活を維持するために必要な生活必需品の差押はできません。これは、給与の1/4を超える差押えが禁止されるのと同様、差押えを受けた人の最低限の生活維持を図る必要があるためです。この場合の生活必需品か否かの判断は、執行官に委ねられることになります。

 

 

2 税金や養育費の差押への対処法

2.1 納税に関する措置

税金や社会保険料は、「非免責債権」と呼ばれ、仮に自己破産しても返済責任が免除されません。養育費も原則としてこの非免責債権に含まれます。税金の場合、問答無用で全額差押回収がされるとイメージされがちですが、以下のような納税に関する緩和・猶予の措置の制度があります。
非免責債権

法的に減額や免除の対象にならない債権

納税の緩和措置

延滞した税金を今すぐ支払えない人のため救済制度として、主なものが以下の2つ挙げられます。

 

  • 納税の猶予措置
  • 換価の猶予措置

 

これらの制度は、あくまで「納税ができること」を前提にした上で、救済措置として設けられているものであり、税金の支払そのものからは逃れられませんのでご注意ください。

納税の猶予措置

納税の猶予は、失職・疾病・災害等の事情により納税が難しい人を対象に、1年を限度として納税の猶予が与えられる制度です。
※制度利用後の状況により、1年間の猶予期間の延長が可能

換価の猶予措置

換価の猶予は、現に差押えを受けている滞納者を対象として、不動産などを競売するのを待ってもらう制度です。制度の性質上差押え開始後に利用が可能となる措置であると言えます。滞納分の税金を分割で返済するための制度であり、換価には役所側も手間がかかることから、納税の猶予措置と比べると、承認を受けられる可能性が高いようです。

 

また、差押えを受けることで、必要最低限の生活の営みが困難となる場合、申請により差押の一部または全部の解除が認められる場合もあります。詳しくは最寄りの税務署等にてお問い合わせください。

2.2 養育費の差押えを受けてしまいそうな場合

離婚の際に取り決めた養育費の不払いや未払いで、元夫(元妻)から養育費の差押を受ける場合があります。この養育費に関しても、税金に次いで強力な債権であると言えます(民法で子に対する扶養義務が定められていることが、優先順位の高い債権である原因だと言われています)。

元パートナーとの話合い

差押を実際に行うか否かは、債権者(元パートナー)次第です。このため、話合いによって解決することも不可能ではありません。大前提としては、養育費を支払う意思があることを感情的にならずに伝えることが大切です。その上で、現在は即座に支払をすることは困難だけれども、「いつから」「いくらづつ」支払うことが可能になるかを説明して理解を得ましょう。例えば、以下のような話の持って行き方が考えられます。

 

  • 支払いの猶予(例:1年間養育費の支払を待ってください)
  • 分割の支払い(例:支払うべき養育費300万円を5万円×60回の分割払いとしてください)
  • 期限つきの減額支払い(例:月10万円の養育費の支払いのうち、2年間は月5万円に減額して支払わせてください。その後は不足5万円分を2万5000円ずつ月の養育費に加算して支払います。)

 

いずれの場合でも感情的にならず、現状の家計の正確な申告をした上で、誠意をもってお願いすることが重要です。また、いつまで減額支払が続くのかは相手方には気になるところですので家計が平常に戻った際の返済計画もあわせて伝えた方がよろしいでしょう。

 

この、養育費の話合いにおいては当事者同士での話し合いでは埒があかないことも多いようです。そのような場合、法律の専門家や知り合いなどの第三者に間に入ってもらうことで話がより円滑に進めることが可能となるでしょう。問答無用で差押を強行されてしまった場合、話が非常に複雑になってしまうので、できる限り差押を受けてしまう前に話をまとめられるようにしましょう。

 

 

3 差押をなるべく回避する方法

3.1 現実的な返済計画を立てることが必要

債権者が行う差押の目的は、言うまでも無く未払いの金銭を回収することです。逆に考えると、差押をしなくとも、支払に応じることができるのであれば、わざわざ費用をかけて差押をする債権者は少ないと言えます(もっとも、一部金融会社は判決取得即差押という決まりになっているところもあり、この場合は支払う意思の有無に関わらず差押を受けてしまうことになります)。

 

このため、差押を回避するためには、債権者に向けて返済の意思表示をすることが重要です。返済(納付)の意思と、返済再開が可能になる時期・金額が明確に説明できれば、差押そのものを回避することも不可能ではありません。税金や年金、健康保険の滞納であれば、まずはお近くの税務署や役所に相談するようにしましょう。一般の金融機関の場合も、連絡不通のまま滞納という状態が最も債権者の視点では不安になりますので、やはり早期に相談した方がよろしいでしょう。

既に差押え通知書が届いている場合、差押予備軍であると考え、早急に対応することが重要です。

 

上でも述べましたが、貸し手側が最も不安になるのは、「連絡がつかず、返済もない」というパターンです(これは滞納者側の視点から見ると、「返済が厳しくて、連絡を取り辛い」という見方もできますが、事態を悪化させてしまう可能性がありえます)。一般の金融機関など民間の債権者に関しても同様、直接窓口に行かれるなりして、返済の意思と現実的な返済計画を伝えましょう。できれば債権者側が申立をしたり、催告書などの通知を出してくる前に、自ら対応する方がよろしいでしょう。

現実的な返済計画で債権者の同意を得る

返済の意思表明をする上で、大切なことは債権者側を納得させることです。俗な言い方をしてしまえば、「これなら差押しなくても普通に支払ってもらった方が楽だ」と債権者が考えた場合、返済計画に同意をし、差押に着手しなくなる可能性は高まるでしょう。債権者の同意を得るためにも、現在の収入に見合った具体的で現実性のある返済計画を提示するようにしましょう。現在の収入を大幅に上回る返済額など、現実味がない返済計画書を提出しても、債権者の理解は得られないばかりか、かえって悪印象となってしまいかねません。

 

ここで重要なのは、「無理」をしてでも返済を実行できる範囲で返済計画書を組み、「無茶」な返済計画を持参しないということです。実現可能性があるということであれば、債権者側の対応も比較的柔軟になると予測されます。

 

また、意外に感じられるかも知れませんが、この返済計画案に関しては金融業者よりも役所の方が受け付けてくれやすい傾向があります。役所の場合、裁判を起こすことができず、いきなり差押を自力でしていかなければならないため、差押を受ける側からすると、手紙は届いていたが突然、という感覚に陥ってしまうことが多いです(金融機関の場合一旦裁判所に費用をかけて申立を行い債務者に告知をしていますので突然という認識はないようです)。

 

こうした側面と、「租税自主納付」を理念に掲げている役所も存在することから実現可能性があり、債務者の生活を破綻させない納付計画であれば、受理される可能性はあります。ただしいずれの場合でも、「いつから」「いくら」払えるのか(これが債権者側から見たら最も大きな関心事であると言えます)を明示する必要はあります。

3.2 裁判や調停まで話がこじれてしまった場合

裁判や調停まで話がこじれてしまった場合、判決か和解かのいずれかの選択肢しかありません。金融機関が証拠も揃えずに裁判を起こすことは考えにくいため、調停を蹴った場合裁判に移行し、裁判では貸し手側勝訴判決がくだることになります。このため差押を回避するためには債権者と和解の合意をする必要があります。

 

債権者との和解が成立すると、和解調書(返済に関する規約)が作成されます。この和解では、「期限の利益(分割払いでいいですよという利益)」が設定されることがほとんどで、この期限の利益を喪失しない限りは債権者も和解を反故にしていきなり差押を実行することはできません。

 

ただし和解後に、和解調書に記載された返済の定めを破ってしまった段階で、期限の利益が失われ一括請求を受けることになってしまいます。また、和解内容を遵守しなかったために期限の利益を喪失した場合、その段階で債権者が差押に着手することが可能になります。和解調書は判決と同様の法的効果をもたらすものであるためです(仮に和解調書が何かのミスで一括請求の文言が入っていなかった場合でも、裁判を起こされればその時点で敗訴してしまうでしょう)。

 

この場合、和解に債権者が応じられる金額で、かつ遅れが絶対にないような和解を締結しなければ後で差押を受けてしまいます。「支払う予定はあります。家計の収支計画を見てください。これなら○万円までなら返済可能です。それ以上だと家計が破綻します」と裁判長や調停委員に伝え、できる限り希望に沿った和解を債権者に勧めてもらえるようにしましょう。

 

 

4 債務整理で差押を回避するという選択

差押の危険水域に入ってしまった場合、ご自身で債権者と話をつけることは困難だと思います。差押対象となってしまうということは、支払が滞っている・連絡がつかないなどのマイナスの要素があるということになりますので、「これからはきちんと支払います」と言って債権者が了承してくれる可能性は、残念ながら低いと考えざるを得ません。

 

差押自体は唐突に実行される場合もあるのですが、その前に延滞や連絡不通といった信用を損なう行為があると考えられます(正常通り返済を実行している場合、期限の利益に守られているため債権者がいきなり一括請求をしたり差押を強行することはできません)。そのまま放置していても事態が好転することはないため、債務整理手続を選択することも視野に入れざるを得ないでしょう。

 

債務整理手続の事実は信用情報機構に事故情報として登録されるというデメリットはありますが、どうしても現状返済が厳しいという場合には思い切って債務整理手続を行うという選択肢も考えられます。

 

債務整理手続には、主として「任意整理」、「個人再生」、「自己破産」の3つの方法があります。なお、法的整理(個人再生や自己破産)の場合、債権者平等の原則があるため一旦差押は解除されます。任意整理の場合は、強制力はないものの多くの金融機関が裁判を起こしたり差押をするのを一定の間留保してくれることが多いです。

 

債務整理

借金の減額や免除・返済計画の再設定を求めて債権者と交渉したり、裁判所へ申立る行為を総称して債務整理と呼びます。

4.1 債務整理手続の対象となるもの

債務整理をしても支払責任が免除されない(免責されない)借金や未払金は債務整理の対象とはなりません(家計の状態を伺うためお聞きすることはあっても減額も免除もされないため手続の対象にならないため)。これらを「非免責債権」と呼びます。

 

債務整理で利息のカットや減額交渉の余地があるものを「免責債権」と呼び、具体的には銀行カードローンやクレジット未払代金、消費者金融の借入、住宅ローンなどが挙げられます。免責債権の場合自己破産手続を選択した場合原則としてその支払責任は免除されます。

非免責債権は債務整理対象に含まれない

反対に、税金などは民間の債権と違い、法律上でも優先順位が高く、債務整理による免責の対象にはなりません(非免責債権)。以下に挙げるようなものは非免責債権とされますが、支払義務を免除すると不平等な結果になるものや憲法その他の法律の趣旨に反するもの(税金は憲法で「納税の義務」が明文化されています)や、免責としてしまうと公序良俗に反するまたは道義的に問題が生じると考えられるもの(例えば人を殴った慰謝料の支払義務が免除されてしまうのは皆様も違和感があると思います)は、非免責債権に含まれます。

 

イメージがわきにくいと思いますので俗に言ってしまいますが、「これを支払わなくて良いとすると他の(真面目に支払をしている)人と比べて不平等だ」「これを免除してしまうと相手方の生活に支障が生じる可能性がある」「これを納めないのはどうかと思う」と一般の方が感じるものは非免責債権と考えると、当たっていることが多いです。具体的には以下の支払が非免責債権の例として挙げられます。

 

  • 税金、年金、健康保険、住民税など
  • 養育費
  • 婚姻費用
  • 損害賠償請求権(事由による)
  • 罰金

 

これらは、理由を問わず納めるべきもの(税金関係)、相手方の同意なく不履行があると子に著しい生活の不便が生じる可能性があるもの、道義的なもの(故意や重過失が理由で他人を殴った慰謝料を免責するのはおかしい)、納付しない場合他の罰を受けるもの(免停、労役場留置)などといったものが挙げられます。

 

上でもご説明しましたが簡単に申しますと、払わなくて良いとなると他人の生活に支障が生じたり、違法な行為の損害の賠償をしなくてよくなってしまい犯罪率が上昇したり、社会全体の不利益につながるおそれがあるものをまとめて「非免責債権」と呼んでいます。では、この非免責債権を除いた債権に関しての債務整理手続きを順に見ていきましょう。

4.2 任意整理

任意整理とは、手続対象に選んだ債権者と直接交渉することで借金の減額や利息の免除、返済計画の再設定などを裁判所を介さずに求めていくものです。

特徴

任意整理手続には、他の手続と比べて以下のような特徴があります。

 

  • 取引期間が短いと減額の幅が少ないか減額がない
  • 裁判所を介さない(債権者との直接交渉)ため合意できれば自由度は高い
  • 資産を残すことができる(住宅ローンなどは支払う必要がある)
  • 信用情報機構に事故登録(延滞解消から5年を超えない期間)

 

裁判所を介さないため、既に差し押えが決定している場合、差押えを回避することができません。合意によって差押の解除をお願いすることは不可能ではありませんが、事前に回避することはほぼ不可能であると言えます。このため、債権者が債権差押の申し立てを行う前に話合いに入ることが重要です。従って、延滞発生初期(3ヶ月以内)、中期(6ヶ月以内)、長期(それ以上)によって差押危険度は増加していきます。支払が苦しいな、ちょくちょく遅れているなと思われた方はすぐにご相談いただいた方がよろしいでしょう。

4.3 個人再生

個人再生は、裁判所を介して借金の減額(一定額カット)を求め、減額された支払額の返済計画の再設定を求めるものです。

特徴

個人再生の特徴としては以下が挙げられます。

 

  • 減額の幅が大きい(数百万円から数千万円といった任意整理では実現不可能な減額幅)
  • 資産を残すことができる(住宅ローンはそのまま払い続けることが条件)
  • 利用条件がある(借金総額5000万円以下、安定収入が利用条件)
  • 信用情報機構に事故登録(官報公告の情報は10年、また返済完了後5年を超えない期間)

 

任意整理と異なり、差し押さえ開始後であっても、個人再生開始決定と同時に差押は解除され、停止されます(再生手続開始決定が発せられた時点で差押の効力が失われます)。裁判所は債権者平等の原則のため強制執行を一旦停止するのですが、この発令がされた場合認可以前に行われた差押は解除されることになります(その後、債務者が積み立てた返済額から債権額に応じ平等に配当を受け取る)。この場合でも、抵当権などの付いている物件に関してはその実行を停止することはできません(別除権の行使)。

 

この別除権というものが曲者なのですが、そもそも始めから担保がついているか、支払を延滞したら引き揚げる(車のローンはほとんどこの形態です)と契約で定められているものまでは、裁判所といえども強制停止はできないと言うことです。逆に言えば無担保の債権はほぼ全てが差押禁止の発令によって強制執行が停止されるということになります。

4.4 自己破産

自己破産は、裁判所を介して免責を受けることで借金の支払義務の免除を求める手続きです。

特徴

自己破産における特徴は以下の通りです。

 

  • 借金の返済義務が全額免除される
  • 高額な資産を残すことができない(換金され債権者へ配当される)
  • 借金の理由次第で免責許可が下りない可能性がある(免責不許可事由)
  • 信用情報機構に事故登録(官報公告情報は10年、免責許可決定後原則として5年を超えない期間)

 

自己破産に関しては、よく「借金がチャラになる」と言われていますが、これは正確ではありません。自己破産後の免責債権は、法的には自然債務という状態で、「債権者は請求できないけれども債務者が自分の意思で返済するならOK」という位置づけになります。このためA社の借金70万円の破産免責を受け7年後にカードを作ろうとしたら、「破産当時の70万円(借金残高)をお支払いいただけないと審査すらできません」と回答されたという方も実際におられます。詳細は専門家に相談なさるのがよろしいかと思います。

4.5 専門家に手続を依頼することのメリット

債務整理の手続きは一人で行うのは不可能ではありませんが、非常に面倒かつ期間がかかり過ぎてしまうなどのデメリットから、法律の専門家へ依頼してしまうことをおすすめいたします。

専門家に依頼するとして、メリットはあるのか?

専門家へ依頼するメリットとして以下のことが挙げられます。

 

  • 専門家が受任した段階で差押えをストップさせられる可能性がある
  • 債権者との交渉をスムーズに進められる(そもそも、個人の交渉には応じてもらえない可能性がある)
  • 家計を踏まえた返済計画の立案のサポートが受けられる

 

特に、返済にお困りの方の場合、取立てを即日止めて欲しいなどのニーズもあるかと思います。また、自分で業者と話そうとしたが全く相手にしてもらえないなどのケースも見受けられます。餅は餅屋という諺とおり、面倒な部分、煩雑な手続きは専門家に一任できること、これはご依頼者様にとって非常に大きなメリットと言えるでしょう。

 

また、一旦は自分で手続を試みたものの、相手方が応じず断念、書類が煩雑すぎて断念、となると費用も手間も二重にかかってしまいます。特に相手方の金融業者が一旦信用を失った方との再交渉に応じるかと言えば、率直に言ってしまってこの可能性はほぼ無いため、費用が多少かかったとしても専門家に始めから手続きの依頼をしてしまう方が無難だと言えます。

 

 

5 まとめ

差し押さえを受けるデメリットは、生活を直撃し圧迫するという金銭的な打撃もありますが、それと同じくらいの脅威になりうるのが、給与差押によって勤務先に借入がばれてしまうことでしょう。勤め人の場合、借入の段階で勤務先確認が行われるのが通常ですので転職しない限り給与差押が始めに実行されて生活費の圧迫と勤務先での気まずいを通り越した耐え難い雰囲気を味わってしまうことになります。

 

また、動産、不動産を不当に安い価格で買い取られてしまったりといった事態が考えられ、これは大きな損害であると言えます。この記事が、差押を可能な限り回避するために、または差押を可能な限り早期に解除してもらうために少しでもお役にたてたらと思います。

 

 

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